暗闇にて
2013年 03月 03日
電車を降りて駅前の雑多なごちゃごちゃを通り、横断歩道を渡り商店街を歩く。駅から離れて静になるにつれて増す「昭和」度。古い店構えの呉服屋、帽子屋、文房具屋なんかが並んでいる。震災で古いものがなくなってしまった神戸ではもう見かけない懐かしさ。ちゃんと生き残ってくれてるんやね。どんどん歩いてほんまにここであってるんかなと不安になりはじめたころに目印のスーパーあり、その角のこれまた時代を感じるパン屋でパンを購入、そして「暗闇」に到着した。

噂以上の素敵な空間。古い建物の良きを残して趣向よく改装され、古い物たちが並んでいる。その物たちと一緒に黒いつや消しの、角張ったKAWAIのアップライトピアノ。一目見て、わあ、すごい。こういうピアノに会うと自分はラッキーだと思う。歳は私とおなじくらいか、いやきっとそれ以上、長い時がたった質感をまとっている。初めてでも手になじむかんじ。お互いよく分かるかんじ。これはとても稀。(そして当時のロゴがまた素敵)

バタバタとリハーサルをしていると、お店のスタッフが二人、ろうそくをつけて並べはじめる。カチッ、、、カチッ、、、とバーナーで火をつけていく。一度でつかないとカチッカチッカチッと連打。カチッ、、、カチッカチッ、、続く手作業。この音も音楽に含まれていく。
ろうそくは100個くらい。ゆらゆら、ゆらゆら。演奏が始まる前から私はもうとても満ち足りた気分になった。押し押しのリハが終わると待ってくれていたお客さんが入って来て店内はすぐにほぼ一杯に。

ギターもアコースティック、声も生。今回初共演のギターの人の曲が1曲目で、これでこの日の演奏全体のイメージがつくれたと思う。コードのドミソ弾いてるだけで響いてくれる曲って好きだなあ。
自分の曲はいつもリバーブに隠れて歌ってるのにいいのかなって思いつつ、さらにマリンバの残響のないポコポコに乗って歌うのは勇気がいったけど、この暗さからできたんだな。三人が始終音のバランスとタッチにすごく気を配っていて、緊張感とぎれないまま、かつリラックスする感じに、、なったのではないかと思う。
一人でろうそくを片付けているスタッフとしばし話をする。ところであのろうそく、100均とかで売ってる普通のアルミケースに入った円いのなんだけど、透明のプラスチックのケースに入れてからろうそくたてに入れていて(多分安全上の理由?)はずす手間も二倍。お店と暗闇のコンセプトなんかを少し話してくれて興味深かった。いわゆる「ロハス」系の今どきの店だけど、日本はみなすぐハヤリに飛びつくきらいはあるけど、人々がエコや、リサイクルや、手間をかけていいものを作ること、質のいい食材を使うことに興味を持つのはいいことだ。いいものは流行ればいい。スローライフもエコもイクメンもどんどん流行ればいい。
お店でも使っている陶器のろうそくたて三個と波照間島産の黒糖を購入。K号に乗って神戸へ。東から夜走って神戸に帰る、というのも久しぶりで、山すその明かりが見えると懐かしくなった。数年前に書いた曲も、今や演奏するミュージシャンや聴いてくれる人の手によって「大きく」なってることに気づく。自分だけでなく皆の手で。書くのは全くの個人作業で、それを初めて持って行く時なんかは「自分の子供」みたいな感じなんだけど、演奏されるようになると私の手を離れてそれはもうみんなの曲だ。ある年長の人が私が妊娠してた時に「子はええよ。その子はマサコさんの子やけど、世界の子でもあるからなあ!」と言っていて、ほんとにその通りだと思った。私の曲もそんなふうになればいいのにな。


噂以上の素敵な空間。古い建物の良きを残して趣向よく改装され、古い物たちが並んでいる。その物たちと一緒に黒いつや消しの、角張ったKAWAIのアップライトピアノ。一目見て、わあ、すごい。こういうピアノに会うと自分はラッキーだと思う。歳は私とおなじくらいか、いやきっとそれ以上、長い時がたった質感をまとっている。初めてでも手になじむかんじ。お互いよく分かるかんじ。これはとても稀。(そして当時のロゴがまた素敵)

バタバタとリハーサルをしていると、お店のスタッフが二人、ろうそくをつけて並べはじめる。カチッ、、、カチッ、、、とバーナーで火をつけていく。一度でつかないとカチッカチッカチッと連打。カチッ、、、カチッカチッ、、続く手作業。この音も音楽に含まれていく。
ろうそくは100個くらい。ゆらゆら、ゆらゆら。演奏が始まる前から私はもうとても満ち足りた気分になった。押し押しのリハが終わると待ってくれていたお客さんが入って来て店内はすぐにほぼ一杯に。

ギターもアコースティック、声も生。今回初共演のギターの人の曲が1曲目で、これでこの日の演奏全体のイメージがつくれたと思う。コードのドミソ弾いてるだけで響いてくれる曲って好きだなあ。
自分の曲はいつもリバーブに隠れて歌ってるのにいいのかなって思いつつ、さらにマリンバの残響のないポコポコに乗って歌うのは勇気がいったけど、この暗さからできたんだな。三人が始終音のバランスとタッチにすごく気を配っていて、緊張感とぎれないまま、かつリラックスする感じに、、なったのではないかと思う。
一人でろうそくを片付けているスタッフとしばし話をする。ところであのろうそく、100均とかで売ってる普通のアルミケースに入った円いのなんだけど、透明のプラスチックのケースに入れてからろうそくたてに入れていて(多分安全上の理由?)はずす手間も二倍。お店と暗闇のコンセプトなんかを少し話してくれて興味深かった。いわゆる「ロハス」系の今どきの店だけど、日本はみなすぐハヤリに飛びつくきらいはあるけど、人々がエコや、リサイクルや、手間をかけていいものを作ること、質のいい食材を使うことに興味を持つのはいいことだ。いいものは流行ればいい。スローライフもエコもイクメンもどんどん流行ればいい。
お店でも使っている陶器のろうそくたて三個と波照間島産の黒糖を購入。K号に乗って神戸へ。東から夜走って神戸に帰る、というのも久しぶりで、山すその明かりが見えると懐かしくなった。数年前に書いた曲も、今や演奏するミュージシャンや聴いてくれる人の手によって「大きく」なってることに気づく。自分だけでなく皆の手で。書くのは全くの個人作業で、それを初めて持って行く時なんかは「自分の子供」みたいな感じなんだけど、演奏されるようになると私の手を離れてそれはもうみんなの曲だ。ある年長の人が私が妊娠してた時に「子はええよ。その子はマサコさんの子やけど、世界の子でもあるからなあ!」と言っていて、ほんとにその通りだと思った。私の曲もそんなふうになればいいのにな。

by masakohappymusic | 2013-03-03 13:55 | 日記